立川いきものデータベース

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植物の科名について

現在は植物の「科の分類」の変遷期・過渡期です。

植物を観察したり同定したりする上で、科の特徴を知っておくことは強力な手がかりとなります。
この分類方法については従来、花の構造などの形態学的特徴に基づいて行われてきましたが、20世紀終わり頃よりDNA(ゲノム)の解析技術が進歩したため、葉緑体ゲノム等を用いた分類が今日の潮流となりつつあります。

科によっては、従来考えられていた分類群から変わったものもあります。特に、ユリ科、ゴマノハグサ科、ガガイモ科、スイカズラ科、カエデ科などにおいて大幅な再編が行われています。

一方で、教科書などでは以前からの分類体系が使われており、図鑑や書籍等でも新旧の分類体系が混在している状況です。

 

3つの著名な分類体系

これまでに、わが国では大きく下記の3種類の分類体系が用いられました。

新エングラー体系 …花の構造に基づいた形態学的分類体系です。1892年にアドルフ・エングラーが提唱、1964年にメルヒオールが改良したもので、わが国で長く親しまれてきた体系です。理科の教科書や薬学系の文献で現在も多く用いられています。

クロンキスト体系 …モクレン類を最も原始的とみる形態学的分類体系で、1990年代に一部で用いられましたが、最近では採用機会が減少傾向です。

APG体系 …葉緑体ゲノムDNAの配列の類似度による分子遺伝学的分類体系で、1998年に初版「APG I」が提唱されました。何度か改訂を重ね、2016年の「APG IV」が最新版ですが、2009年に発表されたひとつ前の「APG III」の採用例が多くなっています。

「立川いきものデータベース」では、上記のうち新エングラー体系APG III体系の2つが広く採用されている現状に鑑み、その2つの体系に基づく科名を併記しております。
科名別さくいんも、新エングラー体系APG III体系のそれぞれで検索可能にしております。

 

複数の科名が表示される場合の見方

たとえば、コバノカモメヅルという野草は、(ガガイモ科キョウチクトウ科)と表示されます。

この場合、最初の科名が新エングラー体系あとの科名がAPG III体系に基づく科名です。

もちろん、新エングラー体系APG III体系とで科名が変わっていない場合も、多数あります。
たとえばカントウタンポポやハルジオンはキク科ですが、キク科は分類的なまとまりが顕著で、ほとんど変動がありません。
このような場合は、単に(キク科)と表示されます。

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